(菊元プロHPから抜粋)

全国BIGBITEファンの皆さん、こんにちは。

1回このコラム飛びました…スイマセン。

(中略)

この後、週末にBIGBITEのロケに向けて高知県へと出発。
ロケは月曜日なのだが、少し早く出発したのには理由があった。
きっかけはこのメールからだった。

BIG BITE菊元さんへ

こんばんは!高知県の森田というものです。
いつも雑誌やPCで拝見させていただいています。
さて、今回始めてメールさせていただいたのは、僕の教え子のことです。
僕は現在小学校の教師をしていますが、昨年まで中学校の教師をしていて今高校1年生になる教え子がいます。「伊藤龍太」君といいますが、彼はバス釣りがものすごく好きで、高校進学も県内で唯一フィッシングクラブのある「高知海洋高校」に進学しました。

中学校から続けてきたバドミントン部と掛け持ちし53PICKUPを開催したりほんと根っからのバス大好き人間です。
しかし今月1日にミニバイクでバス釣りに行っていた帰り交通事故に遭い、前方からはみ出してきた車にはねられ現在も意識不明の重体で、ICUに入ったまま意識も戻っていません。
右足を切断していますがもちろん彼はまだそのこと知りません。(※)
事故を起こした車の運転手は覚せい剤使用で逮捕されたらしいです。
先日元クラスメイトが集まり色紙に励ましの言葉を書いたり、千羽鶴を折ったりして回復を祈っています。
お父さんも仕事を休んでずっとそばにいます。
伊藤君は菊元さんも行かれるという高知市の「ランカー」の常連で、また菊元さんの大ファンです。ちなみにぼくも大ファンです。
今日僕がホームページをチェックしていて菊元さんが近々高知に来られるということを知ったので
無理を承知でメールさせていただきました。

ぜひお時間があれば入院している彼に会いに行ってもらえないでしょうか?
それが無理なら手紙や色紙で励ましのお言葉をかけてあげてもらえないでしょうか?
病院の場所は最近開院したばかりの「高知医療センター」です。「ランカー」から車で10分のところにあります。
もし可能ならばこのメールに返信いただくか、下記までご連絡ください。
心よりお待ちしております。 これからもバス釣りで僕たちに夢を与え続けてください。

(※治療の結果、奇跡的に右足の切断はしなくてもよくなったそうです。)

いかがだろうか?
僕はこのメールを見て、すぐに森田先生にコンタクトせずにはおれなかった。
そして龍太君(リョウタと読みます)のお父さんに連絡を取り、病院までお見舞いに行くことにした。
「少しでも龍太君の回復の励みになれば」と思ったからだ。

病院のエレベータを降りた所でお父さんに迎えられ病室へ。
龍太君はICUから出て、意識は回復していた。
お父さんによると、医者先生も驚くほど、回復力が強いそうだ。一時は「命も危ない」という状態だったそうだが、本当に良かった。
ただ、まだ両手がかろうじてヒジから上だけ動かせるだけで、表情も僕には変化がなかなか読みとれなかった。

ただお父さんによると「劇的に」僕が入ってきた時の反応は強く、喜んでいる様子がはっきり分かったらしい。
「菊元プロが来てくれて良かったな。嬉しかったらイエイとしてみて」というお父さんの呼びかけに、まだ不自由な左手を挙げ親指を立てて「イエイ」のポーズをしてくれた。
「分かったら瞬きしてみて」の呼びかけにも「パチパチ」とすぐに反応してくれる。
その反応が、今までになく強いものだと、お父さんお母さんに聞き「釣り以外に何の取り柄がない僕でも、少しは龍太君の回復の励みになったのかな」と喜びを実感する。
また「龍太、良くなったら一緒に釣りに行こな。でも焦らんとじっくり直せよ」という僕の問いかけには、力強い握手で答えてくれた。
この見舞いのキッカケとなるメールを送ってくれた森田先生もすぐにかけつけてくれ、いかにこの龍太君が頑張り屋でイイ奴だということを熱弁してくれた。

ただ許せないのが龍太君をはねた犯人は、事故当日の朝にも接触事故を起こしており、現場検証・事情聴取から解放されて、車で運転を再開。そしてまたこの事故を引き起こしたのだ。
オマケにこの犯人は保険にも入っておらず、辛うじて自賠責保険から雀の涙ほどのお金しか取れない。
龍太君のお父さんのマイカーの保険の特約から事故の保険金を出さざるを得ない状況に追い込まれてしまっているのだ。

ご両親の犯人に対する怒り、憤り、そして入院・治療・リハビリ、その後の費用に対する負担はとんでもないということは容易に推測出来る。
出過ぎたことかも知れないが、僕はこの龍太君、そしてご両親を少しでも力づける為に、寄付というか、基金のようなものを提唱したいと考え始めてる。
現在、その具体的な方法へ向けて、釣りビジョンさんの協力を得て動いているところなので、その方法が発表出来た時に賛同して頂ける方は協力して頂ければ本当にありがたい。
この龍太君の見舞いの後、すれ違いで会えなかったが、帰国中の盛三にもロッドやルアーにサインをもらって伊藤君宛に送ってもらった。盛三、ありがとう。
その後、高知へロケに行くという河辺さんにも電話をして事情を話した。河辺さんは快く二つ返事でお見舞いに行ってくれた。河辺さん、ありがとう。
あっ、そうそう病院には並木君のサイン入りメッセージとルアーも飾ってあったな。並木君、ありがとう。

“バスフィッシングという縁で繋がっている”

僕は世間一般には害魚を釣ってるバスプロであるかも知れないが、会っただけでこんなに喜んでくれる、感動をくれる、「頑張ろう」と励みにしてくれる人がいる。
龍太君、頑張れ。僕も頑張るで。

後、このコラムを見てくれて、龍太君に励ましのメッセージがあれば、このご意見箱までメールしてください。
また、龍太君にとって憧れの有名バスプロの方達も、ご協力お願い致します。
メッセージ、プレゼントetc僕が責任を持って龍太君に届けます。

尚、この翌日のBIGBITEstory−41のロケは、かなり最後の最後まで苦しんだ。
しかし、やはり最後の最後にBIGBITEは訪れた。

「ひょっとして龍太君に、僕の方がパワーをもらっていたのかもしれない。」
そんなことを、ふと思った。